モンテッソーリ教育について

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在がモンテッソーリ教育の前提となっています。歩くことを教えなくても、歩こうとしたり、積極的に環境に関わりながら様々な事柄を吸収していったりする姿は、子ども自身が自立に向かって、成長・発達していこうとする姿のあらわれといえます。この内在する力が存分に発揮できる環境と、自由が保障された中で、子どもは自発的に活動を繰り返しながら成長していきます。

モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。その教育法の確かさは、現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも証明されています。

100年以上経った今でも時代や文化の違いを超えて世界中で支持され、現在世界140以上の国にモンテッソーリ実践園が存在しているといわれています。そしてその実践の中から世界をリードする人々が数多く育ってきています。

環境を通して行うモンテッソーリ教育

子どもは皆、自己教育力を備えています。しかし、自分で取り組めるような「整備された環境」や、その環境に関わるための方法を知らなければ、その力を存分に発揮させることはできません。

モンテッソーリ教育は、教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが触ってみたい、やってみたいと思う環境を適切に用意し、その環境と子どもを「提示」などによって結びつけ、子どもの自発的活動を促します。
子どもは、自分で選んだ活動に満足いくまで繰り返し取り組みながら様々な能力を獲得していきます。

モンテッソーリ教育の内容

日本では教育の自由化がなされていないため、小学校以降の義務教育にモンテッソーリ教育を取りいれることが難しく、そのため乳幼児期のための教育として受け取られることが多いのですが、アメリカやヨーロッパでは小学校から大学まで準備されているところもあります。

モンテッソーリ教育では、0歳から6歳までの乳幼児期を発達段階の特徴から0歳から3歳までの前期と、3歳から6歳までの後期に分けて考えています。そしてそれぞれの発達段階にあらわれる敏感期を背景に教育環境が用意されています。敏感期は、自己教育力の具体的なあらわれといえます。敏感期とは、自分の成長に必要な事柄に対して敏感になり、環境の中から子ども自身が選び出して熱心に取り組みながらその対象を難なく獲得する時期をいいます。

0歳から3歳まで

0歳から3歳までの前期は「吸収する精神(無意識)」の時期と呼び、人生の中でもっとも吸収力が強く、その後何年かけても達成できないようなことをいとも簡単に獲得し、人間社会に「適応」していく時期です。

子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に7つの教育環境が用意されています。

  1. 粗大運動の活動
  2. 微細運動の活動
  3. 日常生活の練習
  4. 言語教育
  5. 感覚教育
  6. 音楽
  7. 美術
  1. 粗大運動の活動

    運動の獲得は、子どもの成長の方向である自立への一歩です。ここでいう「運動」とは、跳び箱や鉄棒などの体育的なものをさすのではなく、歩く、階段の昇り降り等の全身を用いた大きな動きをさします。ずり這いから歩行までの運動の獲得を援助します。

  2. 微細運動の活動

    ここでは主に、手、指を使った運動をさします。握る、落とす、たたくなどの動きを通して微細運動の獲得を促します。

  3. 日常生活の練習

    粗大運動と微細運動が複合的に合わさった活動です。共同体の一員として日常の活動に参加させることにより、環境への適応を促していきます。着衣枠、観葉植物の世話などの活動が含まれます。

  4. 言語教育

    ことばの獲得は、人間のDNAに組み込まれている本能です。子どもは「話しことばの敏感期」にしたがって、自分の周囲で話されている母語を獲得します。しかし、ことばの量や質は環境に左右されます。モンテッソーリ教育の『言語教育』では、子どものことばの発達段階に合わせてきめ細かなステップを用意し、豊かな語彙を養います。

  5. 感覚教育

    子どもには、無意識に環境をまるごと吸収する精神が存在します。吸収する精神によってため込んださまざまな感覚的な印象は、感覚教具に触れることによって整理されていきます。「感覚の敏感期」を考慮し、発達段階や興味に応じた感覚教具に触れることにより、感覚の洗練を促します。また、感覚教具の操作方法は、子どもの知性の覚醒を促します。

  6. 音楽

    世界中のどの文化にも音楽があり、子どもは音を聴くと、自然に体を動かしたり、楽器を鳴らしたりして、表現することを楽しみます。音楽を聴くこと、楽器を鳴らすこと、歌うこと、踊ることなどを促す環境を用意します。

  7. 美術

    クレヨンや絵筆を握って絵を描いたり、粘土をこねたりします。目と手の協応動作の獲得を促すだけでなく、思いのまま自由に表現することを楽しむ活動です。

3歳から6歳まで

3歳から6歳までの後期は、「意識の芽生え」の時期と呼び、前期に無意識に吸収したさまざまな事柄を、意識的に整理、秩序化していく時期です。

子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に5つの教育分野が用意されています。

  1. 日常生活の練習
  2. 感覚教育
  3. 言語教育
  4. 算数教育
  5. 文化教育
  1. 日常生活の練習

    『日常生活の練習』の目的は、運動の完成です。幼児は大人のすることを何でも真似したがります。その「模倣期」と「運動の敏感期」とを利用して、自分の身体を意志どおりにコントロールする能力を身につける場が『日常生活の練習』です。「子どもはできないのではなく、やり方を知らないのだ」という考え方に立って、正確にやり方を伝えます。自分のことが自分でできるようになった子どもは、「自立」に向けて大きな一歩を踏み出します。具体的には、歩く、はさみで切る、コップに水を注ぐ、ボタンをかける、室内を掃く、洗濯をするなど、実生活と密接に関連する多くの活動があります。

    洗濯
    包丁を使って切る
  2. 感覚教育

    人間は外界の情報を感覚器官によって収集します。3歳過ぎの子どもは、感覚器官がほぼ発達を遂げ、さまざまな感覚刺激に対して敏感です。小さな物を見つけたり、かすかな音を聞きつけたり、微妙な匂いや味を区別したりします。その「感覚の敏感期」を利用して、意識して感覚器官を使って練習するのが『感覚教育』です。練習によって感覚器官が洗練されれば、外界からより精確でバラエティに豊んだ情報を収集できるようになり、知性や情緒が発達します。また、感覚教具には、「対にする」「段階づける」「分類する」という、三つの操作が位置づけられています。このことによって、まさに脳の前頭葉が働き始め、知性が芽生え始めた時期の子どもは「ものを観察する能力」と「ものを考える方法」とを身につけることになります。モンテッソーリ教育では、『感覚教育』は『言語・算数・文化教育』という知的教育分野の基礎となる大切な役割を担っています。

    ピンクタワー
    色板
  3. 言語教育

    子どもは最初からことばを獲得して誕生してくるわけではありません。子どもは「言語の敏感期」の時期に自分の周囲で話されていることばを母語として獲得します。ことばの量や質は環境に左右されます。モンテッソーリ教育の『言語教育』は、子どものことばの発達段階に合わせてきめ細やかなステップを踏んで、語彙を豊かにすることから始まり、最終的には文法にまで至ります。文字を書くこともまた、『日常生活の練習』や『感覚教育』で養った手や腕をコントロールする力を利用しながら、身につくような工夫がされています。したがって子どもは、文字に興味をもった時期に知らず知らずのうちに文字を書いたり読めるようになるのです。

    絵カード
    単語ならべ
  4. 算数教育

    金ビーズ

    車のナンバープレートの数字や物の大きさ、量に興味を示す「数の敏感期」が幼児期には表れます。そのときに数に関する教具の環境があれば、子どもは容易に吸収しますが、モンテッソーリ教育の算数教具はただ単に数を唱えるものではなく、数量が具体物で表され、手で扱えるようになっています。そしてそれらは、感覚教具からの継続として準備されています。既知から未知へ、子どもはスムーズに導かれます。四則演算でいえば、実際に1000個のビーズからなる重い立方体から、色と数字で数量を表す切手という半抽象の段階を経て、暗算という完全な抽象の段階へと無理なく至ります。

  5. 文化教育

    『文化教育』は、「ことば」と「数」以外の子どもの興味を対象とした幅広い分野です。歴史、地理、地学、動・植物など、小学校の社会科、理科に相当する分野を扱います。子どもの知りたいという要求に応え、興味の種を可能な限り多く蒔くことを目的とします。ほかの4分野が統合された総合学習としても考えられます。

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