受賞作品展示 科学部門
令和5年度(第60回)受賞作品

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文部科学大臣賞(高学年の部)

野蚕を死なせずに糸を取る方法を考える

長野県 岡谷市立長地小学校 4年

八並 伸之介

審査員のコメント

 5年前から野蚕の卵や幼虫を採取し成虫に育てているこの児童は、ウスタビガという蛾を飼育する中でやってみたかったことが、野蚕を死なせることなく繭から糸を取ることでした。さまざまな試行錯誤の結果、作り始めから4日経過した繭から、2mの糸を取り出すことに成功します。
 昆虫に対する、命を大切にすることを含めた思い入れ、繭から糸を取るという難しいことへの挑戦など、いろいろな点で高評価の作品でした。最近、蛾の研究が盛んになってきていることもあり、さらなる研究の進展が楽しみです。
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受賞者の言葉

 ぼくの住む岡谷市は、製糸と養蚕が有名なので、蚕は身近な昆虫です。ぼくも蚕糸博物館でいただいた蚕を育てて糸取りをしました。糸取りの時、まゆの中のサナギは死んでしまいますが、食用やつりのエサとして有効活用されています。でも、成虫のガはモフモフでとてもかわいくて美しいのです。だからなんとかして糸もガも両方よくばれないかとずっと考えてきました。
 ぼくは昆虫が大好きです。一年中家の中は様々な種類の虫だらけです。そして毎年山や森で野蚕をつかまえて育てています。野蚕は種類も多くまゆの形もちがうので、もしかしたらガを生かして糸取りできる種もあるかもしれないと目をつけたのが、ウスタビガでした。量は少ないけれど野蚕を死なさずに取れる糸が発見できてうれしかったです。
 実験も観察も記録もとても大変でした。でも、12月、実験でまゆから出したサナギからどんどん羽化してくるウスタビガを見ることができた時、ぼくの研究は大成功だと思いました。ウスタビガは、思っていたより小さくて、他の野蚕よりも毛がフサフサで、想像以上にかわいかったです。
 ぼくの研究で、野蚕がかわいい!と思ってくれる人がいたらうれしいです。