受賞作品展示 作文部門
令和4年度(第59回)受賞作品
全国都道府県教育長協議会会長賞
すこしだけゆるしてあげる
鹿児島県 曽於市立岩川小学校 1年
村下 紫万
わたしのいえは、のうかです。すいかやはくさいをつくっています。そのために、おとうさんとおかあさんはまいにちおしごとです。やさいは、まいにちおせわをしないとそだたないからです。
おとうさんたちがつくっているすいかは、とってもまっかっかでしゃきしゃきしていて、すごくあまい、おいしいすいかです。
すいかをたべたひとは、
「しまちゃんのおとうさんがつくったすいかは、すごくあまくておいしいね。」
とほめてくれます。わたしはうれしくて、にっこりします。
わたしは、あまくておいしくてみんながよろこんでたべてくれるおとうさんたちのつくったすいかが、だいすきです。
でも、すいかのことはだいきらいです。おいしいすいかなのはしっているけど、きらいなのです。どうしてかというと、すいかは、わたしのだいすきなおとうさんとおかあさんをわたしからとってしまうからです。
おやすみのひは、わたしがおきたら、もういません。おとうさんたちは、あさはやくからはたけにいってしまっているからです。だから、あさごはんのときからおねえちゃんたちとすごすことになります。あさごはんのじゅんびやかたづけのおてつだいをしないと、おねえちゃんたちからおこられます。
おやすみのひ、おともだちはおとうさんやおかあさんとこうえんにいってあそんだりしてすごしているのに、わたしは、いえでおねえちゃんたちとおるすばんです。
わたしは、ときどきさみしくて、なみだがでそうになります。
「なんでどこもいけないの。どうしてわたしだけおねえちゃんたちからおこられるの。いやだな。しごとのばか。しごとなんかなくなればいいのに。」
とないているわたしに、おとうさんが、
「しまもいっしょにおしごとにくるか。」
とやさしくきいてくれました。わたしのなみだはすぐとまりました。そして、にこにこしながらうなずきました。
しごとばにつくと、すいかがたくさんならんでいます。あのすいかです。すきだけど、きらいなすいかです。よくみると、ちいさくてかわいいすいか、おおきくておばけみたいなすいか、おおきさもいろいろあります。
わたしのしごとは、おおきさをあらわすしいるをはることです。さいしょはたのしくて、どんどんはっていきました。でも、だんだんつかれてきて、とちゅうからゆっくりになってしまいました。おとうさんがきづいて、てつだってくれました。おとうさんは、すごくはやくて、きれいにしいるをはっていきます。「おとうさんすごいな。」とおもいながら、いっしょにしいるはりをしていると、おとうさんのあせが、わたしのてにおちてきました。「きたないな。」とおもったけど、おとうさんががんばっているすがたをみたら、いえなくて、ないしょにしました。そして、だまってふきました。
ぜんぶおわると、
「しま、ありがとう。きれいにはれたね。たすかったよ。」
と、おとうさんがいってくれました。
わたしは、「おしごとにきてよかったな。いっしょにおしごとできてうれしかったな。」とおもいました。
わたしからおとうさんたちをとっただいきらいなすいかと、なくなればいいとおもったおしごとのことを、すこしだけゆるしてあげようとおもいました。
ことしもおいしいすいかができて、わたしもうれしいです。やっぱり、おとうさんたちのつくったすいかが一ばんです。