マリア・モンテッソーリについて

マリア・モンテッソーリ

マリア・モンテッソーリ(写真)は、ローマ大学最初の女性医学博士です。

ローマ大学卒業後、障害児の治療教育に携わり、実験心理学、教育学にも研究分野を広げました。その間、フランスの医師セガンの著書に出会い、その理論に従って治療教育を進め、大きな成果をあげました。

また、1904〜08年には、ローマ大学教育学部で教育人類学を講じました。

「障害児と取り組み始めた当初から、私が用いている方法は、障害のある子どもの教育だけにとくに限定されるものではない、と感じていました」と、マリアは書いていますが、やがて、障害児に用いた教育法を健常児にも適応する機会が訪れました。ローマ不動産協会が貧困層向けのアパートに保育施設を設け、その監督・指導をマリアに任せたのです。

その保育施設が『子どもの家』です。

『子どもの家』(現在ではモンテッソーリ教育を実践する幼児教育施設をいう)はこうして1907年1月に生まれました。そこでの実践から生まれたのが「モンテッソーリ教育法」です。

マリアはその後、この教育法の普及と教師の養成に精力的に取り組み、多くの著作を残しました。晩年には、平和と子どもの生命の尊重を訴える運動を展開し、ノーベル平和賞の候補にもあげられました。 マリアは、ファシズムを逃れて移り住んだオランダで亡くなりました。その墓碑銘には、「愛する全能の子らよ、人類と世界平和のために、私と力を合わせよう」というメッセージが記されています。

マリア・モンテッソーリの略歴

(当研究所小冊子より抜粋・作成)

1870年 8月31日、イタリア中部アンコーナ近郊に生まれる
1871年 [イタリア、国家統一完成]
1886年 国立レオナルド・ダ・ヴィンチ工科高等学校入学
1890年 ローマ大学入学(92年、医学部へ進学)
1896年 女性としてローマ大学最初の医学博士号を取得
1897年 ローマ大学医学部附属精神病院助手になる
1901年 ローマ大学で心理学を学ぶ
1904年 ローマ大学教師養成コースで教育人類学を講義
1907年 「子どもの家」を開設
1909年 第1回国際モンテッソーリ教師養成コース開催
『「子どもの家」の幼児教育に適用された科学的教育学の方法』
(モンテッソーリ・メソッド)を出版
1913年 初めてアメリカに渡り、講演旅行をする
1914年 [第一次世界大戦勃発〜1918]
1915年 スペインのバルセロナに移住
1922年 [ムッソリーニが政権に就く]
1936年 オランダのラーレンに移住
[スペイン内乱起こる〜1939]
1937年 「平和のための教育」を講演
1939年 インド訪問。以後7年間滞在
その間に『幼児の秘密』『吸収する心』などを著す
[第二次世界大戦勃発〜1945]
1951年 第9回国際モンテッソーリ大会で講演
1952年 5月6日、オランダで死去