受賞作品展⽰ 作⽂部⾨
令和6年度(第61回)受賞作品

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全国都道府県教育長協議会会長賞

キセキのきせき

愛知県 岡崎市立六名小学校 2年

田中 伶奈

 わたしはねこをかっています。名前は、ステラ、ルナ、キセキの三びきです。いつも元気にくらしています。わたしがねこをかって一番うれしかったことは、キセキが生きてくれたことです。
 「ルナの赤ちゃんが生まれたよ。」
そうママに言われておこされ、はじめてルナの赤ちゃんに会いました。その赤ちゃんがキセキです。ルナはきょ年のなつに体ちょうがわるくなり、びょういんに行ってけんさをしたところ、おなかに四ひきの赤ちゃんがいることが分かりました。わたしはルナがぶじに赤ちゃんを生むことができるのか、むねがドキドキしました。
 ルナの赤ちゃんにはじめて会ったときは、「かぞくがふえた!」ととてもうれしく思いましたが、ルナがもともと小さかったので、赤ちゃんもとても小さく生まれてしまいました。びょういんにつれて行ったところ、びょういんにつく間に三びきはしんでしまいました。びょういんの先生は、
「ちょうみじゅくじですね」
といっていました。ちょうみじゅくじとは、ねこの赤ちゃんが生まれなければいけない大きさのはんぶんほどの大きさで生まれてしまった子をいうそうです。ルナの赤ちゃんはみんなけもはえていない、ねずみの赤ちゃんににているほどの小ささでした。びょういんの先生は、
「もしびょういんでちょうみじゅくじの子ねこが生まれたとしても、そだてるのはむずかしい。ちょうみじゅくじの子ねこが大きくなるのは、きせきてきなことです。」
と言っていました。わたしはルナの赤ちゃんがきせきてきにでも大きくなってほしいと思いました。家ぞくみんなできせきがおきますようにとねがいをこめて、子ねこの名前をキセキとつけました。大きくするためには、がんばってミルクをのませてせいちょうさせるしかないともびょういんの先生がおしえてくれたので、びょういんで赤ちゃんにミルクをのませるスポイトをもらい、ペットショップでミルクを買い、それから三時間ごとにパパとママはキセキにミルクをのませました。わたしもミルクを作るおてつだいなどをしました。ミルクをのませるたびに、大きくなりますようにとねがっていました。
 しんでしまった三びきは、つぎの日にどうぶつの火そうばというところにつれていきました。
 火そうばでは、おせんこうとロウソクに火をつけ、手を合わせました。つぎに生まれてくるときには、元気に大きくなれますようにといのりながら、わたしもかなしくて、さみしくてなみだが出ました。そのとき、わたしはキセキには、この子たちの分も生きてほしいとつよく思いました。
 キセキはおなかが丸くなるほどたくさんミルクをのみ、名前のとおり、きせきてきにどんどん大きくなっていきました。からだにもけがはえて、ねこらしいすがたになりました。
 一かげつほどで目がひらき、よちよちと歩けるようになり、そのすがたを見て、やっと少しだけほっとした気もちになりました。
 キセキはきせきをおこし、今ではわたしのいえのねこの中で一ばん大きいです。
 キセキとそのきょうだいたちがうまれたことで、いのちのたいせつさを知りました。生きたくてもしんでしまう子もいます。そしてなにより、生まれること、大きくなることはとてもきせきてきなことだと知りました。これは人げんでも同じことだと思います。わたしもきせきてきに生まれ、大きくなれた一人だと思います。わたしもいのちを大切にして、キセキといっしょに大きくなり、りっぱな大人になりたいと思いました。そして、ステラ、ルナ、キセキの大切ないのちもこの先も大切な家ぞくとして、守っていってあげたいと思います。いつかキセキのきょうだいたちが生まれかわったときにも、わたしの家ぞくとしてまたむかえたいです。

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